【レポート】2025 ACVR Annual Scientific Conferenceにて研究発表を行いました！

はじめに

こんにちは。さいとう動物病院獣医師の田原です。
今回は、2025年 10月15日から18日に米国　ワシントンDCで開催された2025 ACVR Annual Scientific Conferenceに参加し、「Magnetic Resonance Thoracic Ductography in Dogs Using 3D T2 FASE, 3D Heavily T2 FASE, and 3D SSFP」についての口頭発表を行いました。
外部の学びの場に出ることで得られた刺激や学びを、簡単にレポートいたします。

今回参加した学会の詳細

イベント名：2025 ACVR Annual Scientific Conference
開催日時：2025年10月15日~18日
場所：米国　ワシントンDC
形式：口頭発表

セミナー・発表会の内容

発表内容の概要は以下の通りです。

「Magnetic Resonance Thoracic Ductography in Dogs Using 3D T2 FASE, 3D Heavily T2 FASE, and 3D SSFP」

本研究は、犬におけるMR胸管撮影において、3D T2 FASE、3D Heavily T2 FASE、3D SSFPの3つのシーケンスを初めて比較検討した報告です。
MR胸管撮影は、人医療では非侵襲的な胸管造影法として確立されていますが、獣医療では報告が極めて少なく、本研究はその先駆けとなるものです。今後、MR胸管撮影はCTとの比較や臨床応用を通じて、非侵襲的な胸管疾患の診断と治療に貢献する有効な手法であると考えられます。

最後に

今回、年に一度開催される米国獣医画像診断学会にて、発表の機会をいただきました。日本の画像診断学会の発表と同様に、米国画像診断専門医である栗原学先生のご助言のもと、準備から本番まで無事に進めることができました。また、今回の発表に用いた抄録が Non-Resident CT/MRI 部門でアワードに選出され、大変光栄に思っています。初めて出席した米国の画像診断学会で、初めての英語による口頭発表という新しい挑戦の中、思いがけず素晴らしい賞をいただけたことは、非常に励みになりました。

「MR胸管撮影」は獣医療ではまだ応用が限られているものの、今後の発展が期待される注目分野です。今回は、2025年6月に日本獣医画像診断学会で発表した研究内容を基に、英語でスライドを作成し、口頭発表を行いました。初めての英語スライド作成や英語での発表練習にあたり、栗原先生をはじめ海外で活躍される先生方に多くのご指導をいただき、何度も修正を重ねながら準備を進めました。世界中から画像診断専門医が集まる学会での発表は、これまで以上に緊張感のある経験でしたが、発表後には米国をはじめ多くの専門医の先生方からお声がけいただき、貴重なご質問やご意見を伺うことができ、とても嬉しく大きな刺激となりました。また、MRIのみならず、レントゲン、エコー、CTに関する最新の研究発表も数多くあり、発表のたびに専門医同士の活発なディスカッションが交わされており、大変刺激的で貴重な経験となりました。協賛企業などによる大規模な展示ブースは非常にユニークで、まるでお祭りのような雰囲気の中で楽しむことができました。休憩時間には展示ブースのエリアで軽食をいただきながら、海外の著名な先生方と気軽に交流する機会にも恵まれ、本当に貴重で有意義な時間となりました。

今回、日本で発表した研究を英語で再構成し、海外の場で口頭発表することは、大きな挑戦でしたが、無事にやり遂げることができ大きな自信につながりました。当院は、このような海外学会での発表にも、専門医の先生方と連携しながら全力でサポートしてくれる環境であり、その支えのおかげで今回の挑戦も実現できたと強く感じています。

2025 ACVR Annual Scientific Conferenceにて研究発表を行いました！